【ワイン造りで地元を元気に】
山野峡大田ワイナリー 代表 大田祐介
1、ぶどう作りを始めたきっかけ
元々私はぶどう好きで、10年前に福山市最北端の山野町で借りている古民家(ゆうすけ山荘)の目の前の休耕田にぶどうの苗木を30本植えました。山野町は元来ぶどうの産地であり、最盛期には天満屋地下の果物売場に「山野産ぶどう」コーナーができるほどだったそうです。
私が最初に植えたぶどうはキャンベルという品種で、強健で育てやすく無農薬でも豊作となり、これをワインにできたら過疎化が進む山野町の地域おこしになるのではと考えました。清流が流れる風光明媚な山野峡、この地が有名なナパバレーならぬヤマノバレーになる可能性を感じたのです。
そこでJA瀬戸主催のぶどう栽培講座「ぶどう塾」に入り、栽培の基礎を学びました。その後、ワイン専用のぶどうでなければ美味しいワインはできないと考え、山梨県の志村葡萄研究所の指導を仰ぎメルローと山ぶどうを交配した「富士の夢」やリースリングと山ぶどうを交配した「北天の雫」などを植え、今では9品種約3,300本のぶどうを栽培しています。
2、これまでの苦労とやりがい
福山市は有数のぶどうの産地でありながらワインがありませんでした。しかしワイン醸造免許はハードルが高く、最低6,000リットル製造が免許の条件であり、おいそれと取り掛かれる事業ではありません。
そこで、2015年から小規模醸造が可能な「ふくやまワイン特区」を国に申請して、古民家を改修した農家民宿「やまの宿・西元」による「山野峡ワイン」の醸造にチャレンジしました。初年度の製造はわずか400リットル、小さいとは言え福山市初のワイナリーであり誇りに思っています。議員と農家の二足の草鞋を履き、夜明けからぶどう畑で作業をして議会に出ることも多々ありました。
2017年からは設備を拡大し「備後ワイン・リキュール特区」を活用して2,000リットル醸造に取り組み、今年から新たに「福山夢ワイン」というブランドも立ち上げたところです。
3、今後の展開や抱負など
コロナ禍による飲食店の不振やイベントの減少によりワインの販売は大打撃を受けていますが、3密とは無縁の山野峡大田ワイナリーにお越しいただいて、ぶどう畑やワイナリーを見ていただければと思います。またyoutube「山野なんで」によるPR、ホームページのオンラインショップによる販売にも力を入れています。
福山市中心部から車でわずか40分、ワイナリーの他にも龍頭の滝、馬乗観音、岩屋権現、山野峡キャンプ場など名所がたくさんあります。
春は桜が咲き誇り新緑が萌え、夏は冷涼な山野峡で川遊び、秋は紅葉と四季の自然を満喫できるのが山野峡です。山野峡ワインを飲めば、これらの気候風土がワインに凝縮されていると感じられることでしょう。ワインを起点に山野町に訪れる方が増え、関係人口や移住者が増加し、地方創生に繋げることが目標です。